読みもの

開経偈

お経の扉を開くことばの、千年の旅

仏前でお経をお唱えするとき、最初に唱える短いがあります。開経偈かいきょうげ。教えを短い詩の形にまとめた言葉を、偈といいます。家庭のお仏壇でも、お寺の本堂でも、お遍路の札所でも、多くの宗派で、わずか28文字のこの偈からお勤めが始まります。ところが「誰が、いつ作ったのか」と問われると、確かな答えを言える人はほとんどいません。先に結論を言えば、作った人の名は、歴史に伝わっていません。四句の意味をゆっくり味わったうえで、漢訳からインド・チベットの原典までをひとつずつ確かめながら、その来歴の謎を追いかけます。
経本の上に黒い数珠が置かれた、開経偈の記事画像