理趣経とは

理趣経りしゅきょうは、真言宗の勤行や法会で読誦される一巻の経典です。正式には、8世紀の唐で不空三蔵ふくうさんぞう(705–774。唐代の密教を大成した訳経僧)が訳した『大楽金剛不空真実三麼耶経だいらくこんごうふくうしんじつさんまやきょう』といい、般若波羅蜜多理趣品という品題を持ちます。感覚や欲望の言葉をそのまま「清浄」と宣言する十七清浄句で知られ、サンスクリット本・チベット訳・六種の漢訳が現存する、般若経典の系譜と密教経典の系譜が交わるところに立つ経典です。この記事では、伝本・経題・一巻の構成・十七清浄句・百字偈・注釈書・曼荼羅・研究史を、原典の引用とともに順に解説します。